寝言

全部寝言なんで

咎めないよ

 

 

微笑み合うふたりを見て、あぁ、恋してるんだなって思った。君たちが幸せだと私も嬉しくなる。私は永くは愛せないけど、多くを愛することはできるから、幸せの濫觴を自分の周りにしてしまおうと思った。くだらねえよってねじけるような性格だったけど、一周回ったというか、他人事だからいっそ楽観的になれたのかもしれない。私が不幸なのは変わらないことだし、死んだ身内も別れた恋人も縁が切れた友達ももう戻ってはこないけど、それでもこんなに笑えてるんなら、くだらなくても生きる意味あるのかもしれない。本当は、私は頑張ってるわけではないんだろうに、自分の境遇を悲しいものにしようとしていたことを、全部他人事みたいに考えちゃえばなんてことないじゃんね。世間も倫理も一旦忘れて、君たちが恋し合ってるんならそれだけでいいと思うよ、それだけにしよう。